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「最期は家に帰りたい」―膵臓がんの夫を、家族と看多機・訪問看護が支えた在宅看取りの記録

2026.08.18

利用者プロフィール
年齢・性別: 40代後半・男性 疾 患: 膵臓がん(末期)、両側深部静脈血栓症(DVT) 医療処置: クリニック(在宅医) A D L: 要介護1 生活環境: 「家で過ごしたい」という強い気持ちから始まった在宅生活
利用開始前の状況
ご本人は、膵臓がんの末期状態と診断されていました。腹水が溜まり、全身にむくみが強く出ており、寝返りを打ったり起き上がることも自力では難しい状況でした。強い痛みがある中でも、ご本人の希望はただひとつ——「自宅で、家族や愛犬のココと一緒に、穏やかに過ごしたい」というものでした。 奥様も「痛みが取れて楽に過ごしてほしい」「お腹の張りの苦しさを取ってあげたい」と願っており、医療・介護チームが一体となって、ご本人とご家族の望む在宅生活を実現するための支援が始まりました。
看護小規模多機能型居宅介護の支援内容
医療的ケアの提供
🏠 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)かえりえ東大宮 通い・泊まり・訪問を組み合わせた、切れ目のないケア 看多機は、「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」「訪問(訪問介護・訪問看護)」を一つの事業所が一体的に提供できるサービスです。このケースでは、火・水・木・金・土曜日は看多機に「泊まり」として宿泊しながら医療的ケアを受け、日中は「通い」として施設を利用するという形で、生活全体を支えました。 🏥 訪問看護 かえりえ東大宮 看多機と同じ法人の訪問看護が、自宅に帰った際にも継続してケアを提供。在宅での医療的管理を支えました。 オキシコドン(医療用麻薬)定期薬・レスキュー薬(オキノーム散)の服薬状況・効果・副作用(便秘・眠気・悪心)の観察と管理 疼痛スケール(NRS等)を用いた定期評価と主治医への報告 服薬カレンダー・一包化を活用した服薬管理体制の整備 麻薬の保管・廃棄方法の確認と指導 腹水穿刺(腹水3L)の対応・次回穿刺の調整(7/13実施、7/16予定) 異常の早期発見と主治医への迅速な報告 不安・抑うつ・睡眠状態の観察と主治医への報告 夜間の急変時対応の指導・家族への対応フローの共有 👨‍⚕️ 居宅療養管理指導 ながくらクリニック(主治医):月2回以上+緊急時の訪問診療 コスモ薬局大宮(薬剤師):月2回の居宅療養管理指導(麻薬処方継続管理・服薬カレンダー整備・向精神薬・麻薬含む多剤処方の飲み合わせ確認) 松木歯科医院(歯科医):週1回の訪問歯科・口腔ケア 🛏️ 福祉用具貸与 特殊寝台(背上げ機能つき介護ベッド):腹水・全身浮腫による体位管理に必須 床ずれ防止用具(医師の意見書に基づき手配) ポータブルトイレ:移動負担の軽減
成果
✅ 「自宅に帰る」という夢が実現した 7月6日から看多機の利用を開始。ご本人・ご家族・主治医・看多機スタッフが一丸となって話し合い(サービス担当者会議)を重ね、7月11日(土)に無事自宅へ帰宅することができました。 自宅への帰宅に向けては、居室を1階に移し、特殊寝台とポータブルトイレを設置。ご家族(お父様)が中心となって環境を整え、帰宅前日までに準備が完了しました。 ✅ 痛みが和らぎ、穏やかな時間が持てるようになった 自宅に戻ってからも、医療用麻薬(フェントステープ・オキシコドン)の管理と、レスキュー薬(アブストラル舌下錠)の適切な使用により、疼痛コントロールが継続されました。嘔気・悪心などの症状が出た際も、迅速に薬の調整や舌下錠の使用で対応。「痛みが強くなる前に対処できる体制」が整いました。 ✅ 家族が「一人で抱え込まなくていい」と感じられるようになった 看多機という仕組みは、「通い・泊まり・訪問」をひとつのチームが担うため、ご家族の介護負担を大幅に軽減することができます。「急変したときは看多機に戻ることができる」という安心感も、奥様にとって大きな支えとなりました。 夜間に疼痛や気分不快・嘔気が出た際のアブストラル舌下錠の使用方法と、1時間空ければ次の内服が可能であること、連続して何度も使用する場合はほっとらいんに指示をもらうよう、夜勤者への伝達も徹底されました。 ✅ 多職種が密に連携し、日々の変化に対応した 訪問看護師・看多機スタッフ・主治医・薬剤師・歯科医・ケアマネジャー・福祉用具事業者が連携し、状態変化があれば即座に主治医へ報告・対応する体制が整いました。 例えば—— 左脇腹の痛みが出現 → 夜間2回のアブストラル使用で対応 昨夕、茶褐色嘔吐 → ながくらクリニックへ情報共有・指示確認 腹水の増加 → 腹水穿刺(3L)を実施し、次回穿刺日程を調整 食欲低下・服薬困難 → 粉薬・舌下錠への切り替えを検討・対応 こうした迅速な対応の積み重ねが、ご本人が「できるだけ自宅で穏やかに」過ごせる時間を支えました。
まとめ
「最期まで家で過ごしたい」という願いは、決して諦めなくていい。 膵臓がんの末期、血栓、医療用麻薬の管理、腹水穿刺——どれをとっても、「自宅では難しいのでは」と感じさせる状況です。しかし、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)と訪問看護が連携することで、医療と生活の両方を支える体制を整えることができます。 看多機は、状態の変化に応じて「通い・泊まり・訪問」を柔軟に組み合わせられるため、「今日は調子が悪いから泊まりにしよう」「自宅に戻れそうだから訪問に切り替えよう」という対応が、同じチームの中でシームレスに行えます。 同じような状況で悩んでいるご本人・ご家族の方へ——あなたたちだけではありません。地域には、こうした支援の仕組みがあります。 ※本事例は、個人が特定されないよう氏名・住所等の個人情報を加工した上で掲載しています。
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